
行くからには絶対着物で行きたい、せっかくだから御所解の小紋で行きたい…
でも暑すぎて無理…とグズグズしているうちに、とうとう会期終了1週間前となってしまいました。
上野駅から歩くのしんどい、でもタクシーで行く距離でもない。
諦めて、混雑を覚悟し、洋服で向かいました。無念なり。
着いた途端これよ。

20分待ち、やはり会期終了直前の土日祝は混む…
この日は世界陸上のマラソンで棄権者が出た程の湿度の高さ(80%)だったそう。
待ってる間、汗が止まらなくてボウッとなってしまった。
着物や浴衣姿の方たちは猛者だなと思った。いつか私も猛者になりたい。
打って変わって中は天国の様でした。
混雑はしていたものの、かろうじてぽつぽつと開いていたロッカーに荷物をねじ込む。
ここでせっかく持ってきた単眼鏡をバッグから取り出し忘れてしまうのが、私。
無念なり。

エスカレーターで展示室へ向かう時、いつもドキドキする
まず、最初に目に飛び込んできたのは…

よしながふみの「大奥」と、とても気になる「猫奥」なる漫画の特大パネル。
「大奥」の方は履修済みです。

鬼滅に囲まれていますが…大奥、大好きな漫画です
こちらも読んで、予習はばっちりと言えましょう。


そして、多分よしながふみの"大奥”と、それを原作としたNHKの”ドラマ10 大奥”を知らない人にとっては恐らく「なんのこっちゃ」となりそうな、衣装の展示数々。
見た人は大興奮間違いなし。
私は大興奮組!!
滝山役、古川雄大さんお召しの流水紋の裃
家紋は桐でしょうか。

13代将軍家定公役、愛希れいかさんお召しの打掛

色がどうしても綺麗に出ませんでしたが、深みのある青に刺繍が美しい。

天璋院役、福士蒼汰さんお召しの裃

今回の展示では背面が確認できませんでしたが、こちらも流水紋が美しいのです。
こちらです
↓ ↓ ↓ ↓

出典:NHKドラマ「大奥」シーズン2 #18
何より驚いたのは、地紋もすごかったこと。
結構クッキリ分かるので、陰影の美しさたるや…!

8代将軍吉宗公役、冨永愛さんお召しの打掛

質素倹約のこだわりが、衣装からも伝わってきます。
刺繍もほんのちょっぴりですし、なによりデニムっぽい藍色の引着は綿です。
総重量15kgと、ずっしり重いとのことでしたが、見た目で分かる感じでした。

5代将軍綱吉公役、仲里依紗さんお召しの打掛

フキもたっぷり、1人だけ派手めな金襴西陣織の婚礼衣装のような華やかさです。
お隣の吉宗公との差が激し過ぎる…

3代将軍家光公役、堀田真由さんお召しの打掛

帯が細く、かなり下に締めています。
長着が足首までで引きずるほどではなく、袖も短い。
華やかですが、まだ、戦国時代の名残が感じられます。

ドラマで使われたセットも。
写真を撮って良いのはここまで。
第1章 あこがれの大奥
大奥関連の浮世絵がわんさか。
大奥は、お勤めの前に誓詞(契約書)を提出しなければならず、その中に
一、奥方之儀、何事によらず外様(そとさま)へもらし申すまじき事
というのがありました。
なので、この大量の浮世絵は絵師の「想像上の大奥」。
しかも、江戸時代は出版統制があったから、明治になってからのものです。
どれもこれも美しく、かなり気合が入ったものばかりで、人気が高かったことが伺えます。
図録によると、明治20年頃からは江戸を振り返る風潮が高まってきたらしく、「もう話しても…良いよね?!」という感じでポツポツ語られ記録が残され始めたようで、一般人の憧れや知りたい欲が爆発したのかもしれません。
第2章 大奥の誕生と構造
さぁ、ここからが本番といった感じです。
大奥を作った人、春日局の像や絵や和歌から始まり、千姫の掛絡(から)や復元衣装、間取り図、江島や滝山の持ち物など。
千姫の掛絡は本多忠時と再婚した際の衣裳を仕立て直したものだそうですが、そう考えると409年前の服ってことです。
さすがにくすんでいましたが、状態良く残っていてビックリです。
さらに驚いたというか、しげしげと眺めたのはこちらの
↓ ↓ ↓ ↓

出典:Wikipedia 千姫姿絵(弘経寺蔵)
マヌルネコみたいな猫をペットにしている千姫の衣裳を復元したもの!
これが素晴らしかった!
当時の絞り染め技法などを再現したというこだわりで、しかもマネキンに着せているので、現代に蘇った感がすごかったです。
滝山所用の女乗物もバーンと展示されていたのですが、その小ささと共に、かなり質素な外観に驚きました。
女乗物と言えば、蒔絵がほどこされた、黒くつやつやの豪華な籠…しかし豪華バージョンは姫クラス以上なのだなと分かります。
滝山コーナーでは、脳内を大河ドラマ「篤姫」のOP曲がぐるぐるしていました。
稲森いずみさん演じる、冷静沈着な滝山が美しく、印象深い…というか、私の中での滝山のイメージがガッチリ固定されています。
第3章 ゆかりの品は語る
護国寺で開催される骨董市にたまーに行く度に思い出す、桂昌院の振袖、綱吉公の長裃の展示が興味深かったです。
「徳川将軍家十五代のカルテ」篠田達明 著 によると、綱吉公はまこと低身長で、130㎝に満たなかった…とありました。

目の前の長裃を見ると、確かにものすごく華奢で小さい感じはするが、さすがに130㎝は「?」とも思いました。
ただ、何が真実かは分かりません…
肉厚な刺繍がたっぷりの大きな袱紗や、純金の硯箱・沈箱も見ごたえがありました。
現時点で金1g=2万円弱ということを鑑みても、特に純金の硯箱・沈箱に大勢の人が群がっていた様が納得できました。
でもやっぱり私は、着物に惹かれるの~
溶姫の絽の着物は、実物が美しい紫だっただけに、図録を見てあまりの色の違いにびっくり。
鷹司任子(家定公の最初の妻)の、白地にたっぷりの刺繍が所せましとほどこされているお掻取の美しさに心奪われる。
しかし、これを引きずっていたことを考えると、いかに当時の宮様や姫君たちが小柄だったかがよく分かります。
調度品から、和宮と天璋院の趣味趣向の違いというか、お2人は全く似てなかったんだなぁというのも興味深かったです。
第4章 大奥のくらし
一番テンションが爆上がりしました。
なぜなら着物が多かったからです。
ずらり並ぶ着物、そしてマネキンに着付けてある着姿の美しさといったら、もうため息しか出ません。
特に、家茂公の産衣(の控え)とされる、美しい青に宝尽くしの刺繍がたっぷりの着物が素晴らしかったです。
(これも、図録ではなぜか色が全然違っていて、実物を見る大事さを嚙み締めました)
その中で、ため息ではなくハテナ(・・?が駆け巡ったのが「腰巻」という夏の正装とされる姿でした。
とても貴重な展示という事は頭で分かりつつも、これで廊下を歩いたら、さぞかし邪魔なことだろう…と思いながら眺めました。
さて、ずらりと並ぶ着物だけではなく、お持ち物もため息ものでした。
天璋院の薩摩切子の雛道具!
同じく天璋院の蒔絵の雛道具!!
和宮のミニチュアコレクション!!!なぜかタツノオトシゴ!!!!
家茂公のギヤマン!!!!!
この、ギュンッと心を掴まれるような、美しさと可愛さの限界を超えた感じは、実物を見たからこそ分かるものかなと思いました。
ここからは写真OKの歌舞伎コーナーです。

すんごい肉厚。


すんごい海老。


龍、目玉はガラスなのかな?

筥迫。

私が知る筥迫より厚みがありまくり、大きさは2倍…はないかもしれないが、かなり大きかったです。
これを胸元に入れていたら、かなりグズグズになってしまうのでは…?
と思ったのですが、何かに「筥迫が日常使いだった時は、そのような(着物の)仕立てだった」と書いてあったような。
(見つけたら追記予定)



ド派手かつ、遠目からでもはっきりと分かる柄ばかりで、大奥の女性たちを様々な面から出来る限り楽しませようという、演者の心意気を感じました。
「あの龍すごかったわよね!」
と、いつまでも語り草になった気がします。
単に、ド派手さで意表を突くというだけではなく、(出歩かない人たちはどうだったかはさておき)江戸時代は眼病が非常に多かったから、そういった人たちが遠めに見ても分かるように、という配慮もあったかもしれません。
ランチ
ランチオーダー終了ぎりぎりに何とか間に合って、過門香へ。

上野に来た時は、迷わずここにしています。
過門香のいいところ「店内が広い(=並ばない)・美味しい・駅から近い」なのですが、今回は初めて外で少し待ちました。

ランチ後は、上野に来たら必ずお参りするこちらへ。
彰義隊戦死者碑


尽忠報國
この日は、ぺットボトルがたくさんお供えしてありました。

タイミングかと思いますが、私は今までお参りしている人を見かけた事がありません。
それでも、お花が絶えず、こうやってお供えもあって、少なくない人が彰義隊の皆さんのことを忘れない気持ちであることが分かります。

大奥展で買ったもの
- 図録:すっっっっごく豪華
- カステラ:結構大きい!
- レターブック:便箋として使う予定
- ハンカチ:和宮の浅葱縮緬地松竹梅菊網干模様小袖の柄!!!

おまけ

カステラには、葵の御紋がっ!
(葵の御紋はホワイトチョコ)
畏れ多かったけど、超美味しかったです。
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